2019年3月9日(土)…天気予報は晴れ時々曇り。
予想最高気温がやや高めなのが心配でしたが、山登りをする日には、願ってもない天候でした。
そう、今日は第12番 焼山寺(しょうざんじ)へ。
お遍路を始めた者がいちばん最初に心折られ、物理的にも転がされるということから、
『へんろころがし』と言われ、焼山寺アタックとも称されるらしい、
第12番への山登りを致します。
まずは旅館吉野さんにて6時より朝食。。
6:16 朝食前
5:20には起きていたのですが……私は朝の支度に最低でも30分かかります。
で、遍路中で登山前なので、足指を整えたり、ストレッチしたりしていました。
時間に合わせて部屋を出たつもりでしたが、他のお遍路さんはすでに朝食場所にいて、
私は遅い着席になってしまいました。
6:25 朝食後……今朝はこれでせいいっぱい
この後、朝食がもっと入らなくなってゆき、同席された人に、
「ぜんぜん食べてない…」と、ささやかれることに。
やがて、足が速い人ほど、ほぼ全部しっかり食べている現象……に、気づきます。
朝、早く起きてこれず、しっかり食べれない人はだらしがない……。
それが、他人から見た私の印象なのでしょうが、
私には私の(遅いという)ペースがあるのだから、しょうがない。
単に早くするだけなら、足指に何も処置せず、
準備運動もしなければできるだろうけど、
そうしたら私がつらいだけなので、私は自分のペースを守る。
朝から愚痴っぽくて申し訳ありませぬが、伏線というか、
私のお遍路には記述しておかなければならぬことなので書かせておいてくださいませ。(笑)
左 お昼用のおにぎり(300円)を受け取り
右 今朝は荷物が少ないので、おにぎりが潰れずに入れられる!
不要な荷物は、昨夕、山を越えた向こうの宿へ送り出したので、リュックの中は余裕です!
その配送費やお弁当代込みの宿泊費を支払って、いざ出発!
……
って、「ん…?」
玄関先で、荷物の違和感に気づきました。
背負うとなんか…異様に重いんですよね。
普段 入れ子にしている
↑画像の、小さい黒リュックに、不要な荷物を入れて送ったのです。
おかげで軽くなって喜んでいました。
それなのに、背負った途端……
私 『あれ? なんか重い…!?』
肩に掛ける位置が悪いか左右のバランスがズレているのか、
お弁当のおむすびがよほど重いのか(笑)、
いろいろ調整してみるのですが……
すればするほど、荷物の重さが体に伝わってきます。
私 『おかしい……これでは山は越えられない…!』
いま背負っている荷物は、絶対、必要なものだけですから、
これらを持たずに山を登ることはできません。
どうして、より、どうしたら持てるかを考え巡らせました。
そこで、気がついたのは……
重心が直下に
リュックをどけた分、重心が真下にズドンと落ちてしまった様なのです。
個人の体感ではあるのですが……しかし、ヘンです。
荷物の最底部には衣類を入れ、底上げしているのです。
私 「荷物って軽いものを下にすれば軽くなりますよね??」
宿の人 「そう、聞きますね」
おかしい、何故だ……
私 『もっと、底上げすればいいんじゃ??』
そこで思いついたのが、宿へ送っていた荷物に入れていた、新聞紙を丸めたもの。
今回のお遍路でかぶっている菅笠、実は通販で買ったものでした。
送られてきた際、笠が壊れない様に丸めた新聞紙を入れてくださってたんですよね。
通販 この箱に入ってた
宿に、登山靴と杖を送る際、杖が折れるのを心配して、
丸めた新聞紙を、そのまま使いまわして入れてたんですよ!
新聞紙なら宿にもありましたが、(そう言って頂けた)
部屋にまだ置いてあったので、急いで取りに戻りました 三3
丸めた新聞紙で底上げ
左 ここまでのコンディションをみて、膝サポーターを巻くことに
右 欧米人に道案内をしていた青い背中の人…てっきり日本人と思ったら台湾の人でした。この後、ほぼ一緒に登山します。
駐車場(山門より手前)にあるWCが、山に入る前の最後のお手洗いです。
「お大師様、いってきます…!」
この眺めを見ながら、おばさまが説明をしてくださります。
おばさま 「せんすいきょうを通って来たなら…」
私 『仙水峡?……(この辺にあったっけかな??)』
当初、そういう地名かと思ったんですが、
潜水橋(せんすいきょう)のことだと気づきました。
沈下橋(ちんかきょう)と、認識していたんですよね。
どちらも同じ意味らしいですが、
地元の方が「潜水橋」と呼んでるなら、「潜水橋」ですね。
※ 追記 徳島では『潜水橋』、他では『沈下橋』と呼称するらしいです
そう、それで、その潜水橋が見えてるみたいです。
第一番札所から歩いてきた辺りも……
あそこら辺をずーっと歩いて来たんだ。これからもっと先を行き、山を越えるのね……
そう思って、しみじみと眺めました。
おばさまとは、ここでお別れしました。おばさま、どうか、いつまでもお元気で!
そうして、本格的に山の中へ……
登っていると、登山口手前にいた、青い男性に追いつかれました。
あの時、欧米人に地理を説明していたので、
てっきり日本人で、もしかしたら、この辺に詳しい人かと思ったので、声をかけたら……あっ。
青い人 「エー……ワタシ、ニホンジンジャアリマセン」
私 「そうみたいですね…」
それでも、軽装で、本格的なお遍路装備だったので、
海外から就労に来ていて、休日にお遍路をしている人かと思い、
私 「ワーク?(仕事で来日中?)」
と、尋ねたところ、
ウォーク(歩き?)と伝わったっぽく、まぁ、いいやと思いました。
私の英語力はこんなものです。
8:32 長戸庵 標高440
長戸庵(ちょうどあん)です。
しかし、お寺というより、第一休憩所みたいな感覚で、私はいます。
ここは女性用のWCのみあります。
しかも小便用で(もっと身も蓋もない書き方をされていました(笑))、
ティッシュを捨てるの禁止。
『紙に見放されたものは 自ら運をつかめ』という貼紙もあり。
なるほど…ティッシュは持ち帰りました。
もともと山歩きの時はそうしていますし。
標高…じゃなく身長155cmです
Q 膝サポーターはスパッツの下に履くものでは?…
A そうするとズレた時に直しヅラい為、あえて上から装着中
ここで、旅館吉野で一緒だった、
「よく東京か千葉かわからないと言われる地名」から来た女性と、邂逅。
『それって東京女子』さんと、仮名をつけさせて頂きます。(すみません)
その方に撮ってもらいました。
彼女は歩くペースが速く、この後、私が追いつくことはありませんでした。
登山口からの青い人にも、「写真、撮りましょうか?」と声をかけて、撮影。
この人は台湾から来たYさんという男性で、今日、泊まる宿も一緒でした。
この方も申し訳ないけど、
『青い人Yさん』と、仮名をつけさせて頂きます。(ホントすみません)
何故なら、このお二人は、仮名をつけてまで記述しておかねばならないほど……
後々まで登場されるのでした。(笑)
8:48 屋根付き展望所 本当に遮るものがない眺望!
今日はいいけど、雨の日は、屋根がある場所は本当に重宝です!
真ん中に川島潜水橋あたりが見える
川島城という城が目印になって、わかりました。
昨日、土手を私は歩いたので、そのお城は見ていないんですが、
今日、ここで補完されました。(笑)
遍路道らしい道
ずっと、こんな道が続くわけではないのですが……
『焼山寺へのへんろころがし遍路道』として、よくこういう景色が紹介されるので、
こういう山道なんだと思ってしまうわけです。でした。
それから、ふつうの山道、いきなり車道みたいな道、と、歩く中、
異様なものに遭遇しました。それは……
9:34 バリィさんの分岐
「バリィさん!!」
しかも、なんか刺さってる……瀕死??
ツンと触ってみますと……「硬っ!!」 めっちゃカッチカチでした。
私の家には、頂きもののバリィさんぬいぐるみがあるので、
この尋常ではない硬さがわかります。ました。
この日歩いたお遍路で、私がいちばん喰いついた人だと自分では思います。^^;
9:50 柳水庵 標高500
柳水庵(りゅうすいあん)…私には第2休憩所。(笑)
ここは見た目がコレですが、ちゃんとお手洗いもあります。
プチプチは便利な敷物^^ 濡れた地面に荷物を下ろす時も使えます。 山歩きの人に教わりました。
さっさと行く人は行きますが、逸る気持ちを抑えて、自分は20分休憩すると決めて、休みます。
靴も靴下も脱いで、足を投げ出し足首まわすなどして休んでいたら……
小屋にもたれて倒れている様に見えたらしく、覗きこまれてしまいました。
あ、いや、すみません、この通り休憩中です。。
この後、一旦、車道に出る道を下りて、
また標高500から745に向けて、いっきに山を登ります。
左 清々しい山道ですが…
右 寝てる場合じゃない 正直しんどい最中(びっしょり汗)
山歩きって……日頃の運動不足がたたってしんどいとか、
何かしら苦しい思いはしますが、非日常の中にいる為、結局、レジャーとして楽しめるものなのに…
ここでは、現実の世界で生きている時と同じくらい、キツかったです。
日常で、やりたくない仕事をしたり人間関係に苦しめられてる時よりマシ、という感覚がなくて、
それと同じくらい、キツイ感覚のこんな山歩きは……初めての体感でした。
『何故? ここがやっぱり修行道だから…?』
お遍路以外の、日帰りハイクの人やトレイルラン練習中の人もいます。
彼らに悲壮な気配などありません。ここが気軽に歩ける山の部類なのだとわかります。
『ここを通ったお遍路さんの苦しみに、同調しているのかも…』
と、ちらっと思いました。
昔はもっと、逃げ道や抜け道がなかった時代だった筈です。
その時代の人には、レジャー感覚などなかった筈……
どこまで行けども、苦境にある人間は、苦境にいることを強いられる世界……そんな国だった筈。
そういう昔の人間の苦心が凝縮され、独特の凛とした空気があるとしたら……
10:58 お大師様への階段
浄蓮庵(じょうれんあん) 左右内の一本杉 標高745地点です。
②につづきます!